大判例

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仙台高等裁判所秋田支部 昭和27年(う)275号 判決

被告人が原判示銅線十六貫三百匁(四束)を取り出し附近にあつた台の上におきさらに一束を取り出さんとしたとき発見逮捕されたものであること、原判示工場の周囲には有剌鉄線が張り迴されており被告人がこの銅線を原判示の紙付電線焼場から県道(小坂町から毛馬内町に通ずるもの)まで運び出すには、右鉄線を超え約十数米を歩かねばならないから、被告人は当時原判示銅線をいまだ安全地帯にまで運び出してはいなかつたのであり、従つてまた被告人は初め企図したようにこれを処分し代金を取得するにいたらなかつたことは所論のとおりであるが、原判決の挙示した証拠によると、被告人が原判示の東日本熔銅株式会社小坂工場から古銅線を窃取しようと企て同工場の構内に立ち入り紙付電線焼場附近に赴き屋外に長さ二間、高さ五尺位に積重ねてあつた古銅線中から一束づつ合計四束(原判示の数量に相当する)を取り出し約二米運び附近にあつた台の上にのせていたこと、及び被告人はその住居から持参した繩を右台の上に延しておきその上に右銅線の束をのせいつでもこれを結束して担ぎまたは背負つたりして運搬することができるような状況になしていたことがわかるので、被告人はすでに原判示銅線(四束)に対する原判示管理人の支配を侵害しこれを自已の実力的、支配内に納めていたものとみるべきであるから、被告人の右所為は窃盗の既遂をもつて論ずべきであり、決してその未遂に止まるものではない。その他本件記録並びに証拠を精査しても原判決には事実誤認の点も発見できないしまた擬律錯誤の違法もない。論旨はすべて理由がない。

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